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風俗店における引き抜きとは、在籍している女の子を他店で働くように勧誘する行為です。「ヘッドハンティング」「スカウト」とも呼ばれ、風俗業界ではお店同士のトラブルに発展しやすいためタブーとされています。キャストを引き抜きされたお店側は、要件によっては損害賠償を請求することが可能です。

当記事では、風俗における引き抜き行為が良くない理由や、損害賠償を請求できる基準、引き抜きされないための対処法などを紹介します。お店同士のトラブルを避けたい方や、引き抜きを防止したい方は必見です。

風俗における引き抜きとは、風俗で働く女性キャストを別のお店で働くよう勧誘することです。「ヘッドハンティング」や「スカウト」とも呼ばれます。

引き抜きを行う人物として挙げられるのは、下記の通りです。

同業種のライバル店から「今よりも給与をアップさせる」などの条件で勧誘されるほか、風俗店の中でも別業種から声をかけられる場合もあります。

また、自店従業員で退職・独立しようとしている人から「自分のお店で働いてほしい」と誘われるケースも珍しくありません。

風俗業界において、引き抜き行為はタブーに当たります。風俗店で働くキャストを集めるのは簡単ではありません。労力やコストをかけて獲得したキャストたちは、お店にとって貴重な戦力です。

引き抜きはキャスト獲得に対する企業努力を無視した行為です。多くのお店では、キャストに引き抜きを禁止する規定を明記したり、女の子に誓約書のサインを求めたりして対策しています。引き抜きがお店に知られるとトラブルにつながり、罰金の支払いを求められることもあります。

風俗で働く女の子の中でも特に引き抜きされやすいのは、下記のようなキャストです。

出勤率が高いにもかかわらず予約の空きが目立つキャストは、意欲はあっても満足する収入が得られていない可能性があります。また、店舗の不満を周りのスタッフやSNSなどに漏らしていると、引き抜きの対象とされやすいでしょう。

さらに、新人キャストは長く働くキャストと比較すると店舗スタッフとの信頼関係が浅く、引き抜きについて報告する可能性が低いと考えられます。特に業界自体が初めての人は、引き抜きが禁止されていること自体を重く受け止めていない場合もあり、ターゲットとされやすい傾向です。

キャストの引き抜きがあった際、下記のケースに当てはまれば損害賠償を請求できます。

元従業員がお店のキャストを引き抜いた場合について、元従業員・キャストのそれぞれに損害賠償を請求できる基準は、以下の通りです。

風俗店が従業員を雇用する際は雇用契約を締結します。引き抜きが発覚した場合に損害賠償を請求するには、雇用契約書に以下の条項を明記することが必要です。

雇用契約を締結した従業員は、労働契約法第3条4項により、会社に対して誠実義務を負います。誠実義務の内容には、秘密保持義務・競業避止義務が含まれます。

出典：e-Gov法令検索「労働契約法」

しかし、風俗業界における秘密保持義務・競業避止義務は、雇用契約書に記載がないと有効性が認められないケースも少なくありません。被害時に損害賠償請求できる可能性を高めるため、必ず明記しておきましょう。

注意点として、たとえ引き抜き禁止に関する条項が明記されていたとしても、元従業員による引き抜きのすべてが損害賠償請求の対象となるわけではありません。キャストが自分の意思で移籍すること自体は問題ないため、単なる転職の勧誘程度であれば損害賠償請求をするのは難しくなります。

引き抜き行為が損害賠償請求の対象となるには、社会的相当性を逸脱した積極的な勧誘が認められなければなりません。

積極的な勧誘の例は、下記の通りです。

また、オーナーや取締役のような地位の高い従業員による引き抜きは、損害賠償請求が認められやすくなります。

引き抜き被害に遭った場合、条件を満たせば引き抜かれたキャストに対しても損害賠償を請求できます。キャストは個人事業主として働いているケースがほとんどであり、所属するお店と交わすのは雇用契約ではなく業務委託契約となります。

業務委託契約では、雇用契約のような誠実義務は発生しません。そのため、キャスト側にも損害賠償請求をするには、契約書内で個別に秘密保持義務や競業避止義務について定めておくことが必要となります。

引き抜きが発覚した場合に請求できる損害賠償や違約金は、以下の通りです。

元従業員によるキャストの引き抜きは秘密保持義務違反・競業避止義務違反と判断され、不法行為に基づく損害賠償請求が可能です。

出典：東京都 TOKYOはたらくネット「8-4. 退職後の義務（競業禁止・秘密保持）」

競業避止義務違反に該当する場合は損害賠償請求だけでなく、退職金の減額・不支給などが認められることもあります。

請求内容や金額は事例ごとに異なりますが、キャストの売上に応じた紹介料などを請求可能です。また、契約書に禁止行為として引き抜きを明記していれば、元従業員には雇用契約違反として損害賠償を、キャストには業務委託契約違反として違約金を請求できます。

出典：独立行政法人 国際協力機構「第６５課 債権 ― 契約その６（契約違反）」

法律事務所によっては、引き抜き行為による法的な支払い義務は発生しないと判断されるケースもあります。しかし、罰金を設けること自体が引き抜きの抑止力として機能するため、対策として条項を明記しておくのがおすすめです。

風俗店において自店のキャスト引き抜きを防ぎたい場合には、さまざまな事前対策があります。たとえば、お店の規約として「引き抜きが発覚した際は警察へ通報する」と記載しておけば抑止力となるでしょう。

ここでは、風俗で引き抜き防止のためにできる事前の対処法について解説します。

風俗で働くキャストの多くは高収入を目指しており、思うように稼げないと不満を抱きやすくなります。

キャストが稼ぎやすい環境を整えるための例は、下記の通りです。

予約の空きが多いキャストは、意欲があっても収入が伴わないことに不満を抱えている可能性が高いと考えられます。売上アップのため接客方法・営業方法の指導に力を入れたり、お店側が広告でプッシュしたりするなどのサポートに取り組むのがよいでしょう。

引き抜きを防ぐためには、従業員と交わす雇用契約書や、キャストと交わす業務委託契約書に不備なく禁止条項を記載しておくことが必要です。

引き抜きに関する記載事項として重要となるのは、秘密保持義務や競業避止義務などです。明確な記載がなければ効力を持たないと判断されるケースもあるため、今一度自店の契約書を見直しておくのがおすすめとなります。

さらに、禁止事項として従業員とキャストの連絡先交換や店外での面会を明記しておけば、引き抜きにつながりやすい行為を阻止できるでしょう。

職場に対して何らかの不満を抱えていると、引き抜きの勧誘に心が揺れやすくなります。引き抜きを防ぐには、従業員との関係性や職場環境に満足してもらうことが重要です。

従業員・キャストの悩みや相談、トラブルに対して迅速かつ丁寧に対応することで、スタッフ全員にとって働きやすい環境を整えられます。特にキャストは「お店での扱いが雑である」と感じることが不満につながりやすいため、女の子一人ひとりを尊重しているという姿勢を示す必要があります。

風俗での引き抜きは、女性キャストを他店で働くように勧誘することです。ヘッドハンティングやスカウトとも呼ばれ、引き抜きを行う人物は「お店の現従業員・元従業員」「競合他店のスタッフ」などが多いでしょう。

風俗で引き抜きされた場合、お店側はいくつかの要件を満たせば引き抜きを行った者やキャストに対して損害賠償請求を行うことができます。風俗で引き抜きされないためには、自社サイト内でキャストをPRしたり教育を充実させたりして、キャストが稼ぎやすい環境を整えることが重要です。